5月12日(土)、「九州シェアリングサミット2018」が福岡市にある官民共働型スタートアップ支援施設「Fukuoka Growth Next」で開催された。(アイデアソンは福岡市スタートアップカフェにて開催)
前日に行われたプレイベントは下記を参照。
【速報】九州シェアリングサミット2018 プレイベント 次世代シンポジウム
主催は、内閣官房 シェアリングエコノミー伝道師でもある森戸 裕一 氏が事務局長を務める「九州シェアリングエコノミー推進協会」。
メイン会場では、近年注目を浴びているシェアリング・エコノミーに焦点を当て、地域の変革のカギとなる先進ビジネスを学べる5つのトークセッションが行われた。さらに、サブ会場では市民参加型アイデアソンも開催された。
【第1セッション】 「国の施策、先進事例に学ぶ」
登壇者:岩坪 慶哲 氏(内閣官房情報通信技術(IT)総合戦略室 シェアリングエコノミー促進室 参事官補佐)、西岡 誠 氏(九州周遊観光活性化コンソーシアム 代表)、鶴岡 良一 氏(九電テクノシステムズ株式会社 理事/NPO法人イーモビネット 代表理事)
【岩坪 氏】
・シェアリングエコノミーは、以前からある「所有」から「利用」という流れが、テクノロジーの進展によって様々な分野で行われるようになったもの。
・シェアエコガイドライン→認証マークを付与する仕組みを構築
・シェアニッポン 100 →シェアエコを活用した取り組み事例をまとめたもの
【西岡 氏】
・スマートパーキング構想
行き先、目的地が賑やかでないと駐車場の意味がないので、商店街を興す事業に取り組んでいる。
・シェアサービス+電気 車泊(くるまはく)
熊本地震で被災された方々は車中泊の人が多かった。そんな中「電気の使えるところがあれば便利」という声から車泊の取り組みが始まった。そこからグランピングパークへと繋がる。
無人でもQRコードなどで電気利用を可能にしたり、Wi-Fi利用も可能にする。温泉利用などでもシナジー効果を生み出していく。
実際に熊本の阿蘇や南阿蘇などの4都市、長崎島原などの2都市で実施されている。
【鶴岡 氏】
・天草地域でのスマートモビリティ実証事業
豊かな観光資源に恵まれながらも地理的ハンディ等によりインバウンドを含めた観光振興も他の地域と比べると遅れ気味。交通手段が問題となっているので、カーシェア型電気自動車を配置。
EV車両にGPS車載器をつけて携帯端末やスマートフォンでガイドを受けられるサービスを開発中。
・熊本、益城町お出かけ支援サービス
高齢者が支える仮設住宅の送迎支援。
ブレーキとアクセルが1つになった「ワンペダル」の車を利用→これにより踏み間違えによる事故がなくなる。
安全対策を施した電気自動車+高齢者→今は無料で行なっているが、今後どのようにしてビジネスにつなげていくかを思考中。
【第2セッション】従来車を1秒でコネクテッドカーに変える「カーセントリックサービス
登壇者:鴨川 哲也 氏 (Bosch Serves Solutions 株式会社代表)、田幸 めぐみ 氏(ボッシュ株式会社 オートモーティブエレクトロニクス事業部事業開発室 Bosch Connected Devises and Solutions製品プロジェクトマネージャー)、安東 慶人 氏 (ソフトバンク株式会社 プロダクト本部戦略・企画統括部 スマートデバイス企画部プロジェクトリーダー)
コネクテッドカーの利点は、後付け通信デバイスの活用で、ライドシェア、カーシェア、デリバリーなどのサービスのプラットフォームを創造出来るところである。
インカーデリバリーにおいて自動車に搭載する「eCall(イーコール)」サービスがある。事故の発生時に自動で緊急通報を行い、対応を早めることで状況の悪化を防いでいる。スマホと連携しモノをトラッキングしているのである。このシステムにより自動車事故による死亡率を68%減少させることが出来る。
【第3セッション】 「民泊×インバウンド×クラウドファンディング」
登壇者:大津山 訓男 氏(アットマークベンチャー株式会社 代表取締役)、道越 万由子 氏(株式会社BEYOND 代表取締役/社団法人JIFインバウンド連合会 副幹事長/茨城県 公式PR広報アドバイザー/SNSマーケティング・インバウンドマーケティングプロデューサー )、鬼頭 武嗣 氏(株式会社クラウドリアルティ 代表取締役)
・初訪日客はゴールデンルート(東京、京都など…)に来る人が多い。
リピーターは九州などの地方に来る人が多い。
・インバウンドでは、いかにお金をかけずに多くの客を呼び込めるかが重要。
・近年ではFacebookやTwitterをはじめとしたSNSが多く普及している為、そういったツールを使って集客を行う。
・SNSを活用する上でのポイント
中でもスマホで撮ったような動画などでも、海外では注目を集め、クーポン券の配布などでも、わざわざ地方に足を運んでくれる人がいる。
・海外の方は日本食を求めてきている方が多いので、地域の食と地酒を提供することやコミュニケーションが必要。
・不動産証券化×クラウドファンディング
キーワードは「新しいまちづくりのカタチ」
日本では、京都の鏡ノ宿など、海外ではエストニアでの宿作りが行われている。渋谷区では待機児童解消の取り組み事業が行われている
【第4セッション】多拠点生活(参勤交代)九州多拠点連携
登壇者:村岡浩司氏(有限会社一平(九州パンケーキ)代表取締役)、津田佳明氏(ANAホールディングス デジタルデザインラボ チーフ・ディレクター)、佐別当 隆志氏(株式会社mazel 代表取締役/一般社団法人シェアリングエコノミー協会 事務局長/株式会社ガイアックス ブランド推進室)
シェアリングエコノミーの考えが進む中、多拠点生活のビジネスモデルは日本らしくないにもかかわらず浸透している。
その背景には幸せの価値観が変わり、いろんな形の繋がりや手触り感のある社会を求める世代の増加が影響している。シェアすることで人と繋がり、人の魅力が地域の魅力へとつながる。
【第5セッション】福岡市+近隣都市連携の展望
登壇者:木村 奈津子 氏(ホームアウェイ 日本支社長)、松田 美幸 氏(福岡県福津市 副市長)、森戸 裕一 氏(内閣官房シェアリングエコノミー伝道師)
九州をシェアリングアイランドに!!
【松田氏】
・福岡市と北九州市のベッドタウンである福津市
・最近の典型的な観光ルートは宮地嶽神社〜古墳群~古民家を改築したレストラン〜福間海岸だが、そのまま帰る人がほとんどで残念。
・そこで宿泊施設として、福間海岸に素敵なグランピングなどもできているが、圧倒的に、受け入れる体制が整っていない。観光客が滞在いてくれるようにするのが今後の課題。
【木村氏】
・米国では、1950’sからバケーションレンタルが行われている。
・バケーションレンタルの代表としてHomeAway、Airbnbがあるが、それぞれターゲット層が違う。
Home Away:30〜50代、地方やリゾート地、家族やグループ(サークル)
Airbnb :10〜20代、都市部、カップルなど若者
・福岡は日本6大都市 インバウンド成長率が1位であり、佐賀県なども成長率が高い。(317%)このように、今九州の成長率が高い傾向にある。
・もっとインバウンドをしてもらう為に、福岡のみでなく、プラスもう1都市を訪問してもらう!
【森戸氏】
シェアリングエコノミーは従来の職では語れない。
・ゲストハウス×カーシェア
民泊にレンタカーを置くことで、交通手段が広がる。
シェアリングエコノミーや様々な取り組みを自治体が行う際に、自治体同士には壁ある。その壁をなくして協力して行くことにより、もっと取り組みの幅などが広がる。
武雄や伊万里、福津などは情報の発信力が弱く、焼き物などでの「イマリ」は有名であったとしても、「伊万里」自体が有名ではない。
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サブ会場である「福岡市スタートアップカフェ」で開催されたアイデアソンについてレポート。
サブ会場では、約25名の参加者が、福岡市近辺の5地域(福岡ブロック、筑後ブロック、筑豊ブロック、佐賀ブロック、離島ブロック)の地域課題をシェアリングエコノミーでどう解決するか?に挑んだ。
約3時間半を超えるワークからチーム独自のアイデアを出し、4名の審査員による審査を経て、3チームに優秀賞が与えられた。
・佐賀ブロックAチーム「ファイブエイト」
・佐賀ブロックBチーム「日常のおすそわけひろめ隊」
・筑後ブロックBチーム「就活生」
副賞として、それぞれに、ANA賞(航空券)、mekuma賞(サービス利用ライセンス)、HomeAway賞(宿泊クーポン)も贈られた。
審査員:藤本 広一 氏(福岡市 総務企画局企画調整部 特区担当部長)、中安 知敬 氏(株式会社メクマ CEO)、古長 由里子 氏(日本アイ・ビー・エム株式会社 デジタルイノベーション事業推進 理事)、平山 雄太 氏(福岡地域戦略推進協議会シニアマネジャー/名古屋大学客員准教授)
メンター:小池 英智 氏(GWコネクト株式会社 代表取締役/NGO Peach Other Founder )、小野 潤平 氏(デロイトトーマツベンチャーサポート株式会社)、古川 陽進 氏(たいようアウトドアー!代表)、野間 英樹 氏(天草IoTイニシアティブ発起人)、飛田 努 氏(福岡大学 商学部 経営学科 准教授)