【基礎】わかりやすい文章の5つの特徴

日本語はとてもやっかいです。

なぜなら、日本人のほとんどが日本語の読み書きができるからです。ほぼ毎日のように使っているので、分かりにくい文章や間違った文章を書いているという自覚がない人が多いのではないでしょうか。
しかし、“やりとりをスムーズにするツール”として文章を使うのであれば、分かりやすい文章は必須。いくつかの文(主語と述語があり、句点(。)で終わるもの)を連ねたものが文章ですので、まずは文章を見る前に、“文の書き方”から見てみましょう。

人に伝わる、分かりやすい文とは・・・

分かりやすい文の特徴は、以下の5つです。

 5つのポイント!

1.長すぎない

2.主語と述語がねじれていない

3.誤字・脱字がない

4.専門用語が少ない/しっかりとした解説

5.リズムがある/分かりやすい(句読点)

◆最後に

1.長すぎない

(悪い例)
文が長くなると主語と述語の距離が離れることが多く、伝えたいことが分かりにくくなりますし、順接の意味で【が】を使いすぎると一文が長くなる場合が多いですが、これは、既に癖になってしまっている人にとって修正しにくい点でもありますが、解決策としては、文中の【が】を、逆接の意味で使っているのか、順接の意味で使っているのかを意識して文章を書くことです。

読んで分かる通り、文章が始まってから、句点(。)までが長い。接続詞を多用すると、上記のような文章になります。一文を短くしてみましょう。

(修正後)
文が長くなると主語と述語の距離が離れることが多く、伝えたいことが分かりにくくなります。また、順接の意味で【が】を使いすぎると一文が長くなる場合が多いです。

これは、既に癖になってしまっている人にとって修正しにくい点でもあります。解決策としては、文中の【が】を、逆接の意味で使っているのか、順接の意味で使っているのかを意識して、文章を書くことです。

このように、一文を短くすることで読みやすさが増します。改行も入れてあげるとさらに読みやすくなるでしょう。

 

2.主語と述語がねじれていない

主語と述語がねじているとは、次のような文章のことを言います。

(悪い例)
このプロジェクトの目的は、現状をしっかりと把握し、商品の購買率を高めなければならない。

主語と述語を抜き出して文にしてみると、、、

「目的は高めなければならない。」

このように、主語・述語が呼応していない状態を「ねじれている」といいます。主語と述語のねじれを回避するには、文中のどれが主語でどれが述語かをしっかりと考えながら書くことが大切です。

また、『一文を短く』を心がけましょう。長い文章になればなるほど、主語と述語のねじれが生まれやすくなります。

仮に、例文の前半部分「このプロジェクトの目的は」を残すのであれば、「目的(主語)」「高める(述語)」を呼応させましょう。

(修正後①)
このプロジェクトの目的は、現状をしっかりと把握し、商品の購買率を高めることだ。

 

後半部分「高めなければならない」を残すのであれば、「購買率」を主語にし、「高める(述語)」と呼応させましょう。

(修正後②)
このプロジェクトでは、現状をしっかりと把握し、商品の購買率を高めなければならない。

上記のように書き換えると、ねじれも解消して、文がスッキリします。

 

3.誤字・脱字がない

誤字・脱字は言語道断です。声に出して読み返すと、誤字や脱字を発券しやすくなります。[2.主語と述語のねじれ]も、十分に読み直していないことが原因であることもしばしば。

特に同音異義語は、変換ミスで間違えることも多いので、気をつけて読み返しましょう。上の文にある「発券→発見」のミスはまだ分かりやすいですが、例えば「こうせい」と読む漢字はたくさんあります。

どれがどういう意味を持つのか分からなければ、しっかりと調べてから使うようにしましょう。

「こうせい」と読む漢字

構成、校正、更生、厚生、公正、後世、抗生、恒星、攻勢、鋼製、硬性、、、、

 

「れいぐう(礼遇、冷遇)」に至っては、ほぼ正反対の意味になるので気をつけましょう。さらに、「お食事券」と「汚職事件」など、丁寧語にすることで同音異義語になるものも存在します。

 

4.専門用語が少ない。もしくは、しっかり解説されている

専門家同士の会話では、専門用語のオンパレードでも問題はありませんが、相手が理解できなければ意味がありません。誰に向けて話している(書いている)のかが重要です。

四字熟語や横文字は、特に理解しにくいものが多いです。説明が難しい言葉を使わざるを得ない場合は、具体例や図、絵などを使ってみるのもひとつの手でしょう。

また、何かを説明する際にWikipediaを用いる人も多いかもしれませんが、読む人によっては難解な文章である場合があります。例えば、揚力。

揚力(ようりょく、英語:lift)は、流体(液体や気体)中におかれた板や翼などの物体にはたらく力のうち、流れの方向に垂直な成分のこと。通常の場合、物体と流体に相対速度があるときに発生する力(動的揚力)のみを指し、物体が静止していてもはたらく浮力(静的揚力)は含まない。

高校で物理を選択していたり、大学で学んでいなければ、分かりにくい文章ではないでしょうか。専門用語も多いですし、読んでいるうちによく分からなくなります。

もちろん、誰に説明するかによりますが、少なくとも物理を知らない人にこのまま伝えても、分かってもらえないことがほとんどでしょう。いかに相手に寄り添えるかが鍵です。

 

5.リズムがある/分かりやすい(句読点)

文章を書いた後に、声に出して読んでみると効果的です。話す時にどこで区切るかを考えると、読みやすい文章になります。とは言っても、読点の位置に正解はなく、書き手の好みによります。

 

《例1.読点(、)がないと分かりにくい文章》

(悪い例)
すもももももももものうち

↓読点「、」を打つと…

(修正後)
すももも、ももも、もものうち

 

《例2.読点(、)を入れることで、文の意味をはっきりさせる》

大急ぎで逃げる男を追いかけた。

下記のように、読点の位置によって2通りの意味にとれる。

  1. 大急ぎで、逃げる男を追いかけた。

  2. 大急ぎで逃げる男を、追いかけた。

 

おまけ

読点(、)以外に、修飾語と被修飾語を近づけるという手もあります。仮に①の意味だった場合、修飾語が「大急ぎ」被修飾語が「追いかけた」なので、

逃げる男を大急ぎで追いかけた。

とすると、読点(、)がなくても分かりやすくなります。ストーリーを重視しないビジネスコミュニケーションでは、修飾語と被修飾語を近くに置くことが大切です。下記のような例も、複数の意味を持つので面白いですね。

俺が好きなワンピースを着た女の子

2通りの意味

  1. 【俺が好きなワンピース】を着た女の子

  2. ワンピースを着た【俺が好きな女の子】

 

最後に

何かを習得するには、繰り返し繰り返し、実践することが大切です。今後は、自分が目にする文章の中で、「これは読みにくい」「これは読みやすい」といった文章があれば、なぜそう感じるのかを考えてみましょう。言語化することで理解が深まります。後は実践するのみです。

次回以降は、文章の構成などにも触れていければと思います。

参考:
読点の打ち方-中学受験国語学習用-
文章力をあげる5つのポイント!現役編集者による実践添削例つきーLIG inc.ー

 

会話もコミュニケーションツールなので、こちらも参考になります。
上手な話し方とは?話がわかりやすい人とわかりにくい人の違い8か条

1. 「結論」から話すか、「過程」から話すか
2. 「具体的」に話すか、「抽象的」に話すか
3. 「聞かれたこと」を話すか、「自分が話したいこと」を話すか
4.「相手の反応を見て言葉を変える」か、「一律の表現を使う」か
5. 「全体から入る」か、「詳細から入る」か
6.「相手の理解のスピードにあわせる」か、「自分のペースで」か
7. 「こそあど言葉」を避けるか、「こそあど言葉」を多用するか
8. 「脱線」するか、しないか


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